陽炎3型D改(カットオフセンサー異常)

修理事例

カットオフスイッチの不良と報告を受けた修理品ですが、該当箇所以外に問題がありました。

モーターに繋がるコードの配線誤りがあります。
右の画像の矢印部分ようにコード(赤)がモーターとグリップに挟まれかなり潰れています。
角度の起きているグリップではコードの取り回しが違います。
このタイプのグリップではグリップ前方(東京マルイ製M4系の逆)から取り出します。
マイナス側(黒)は長すぎで弛んでいます。
画像のような配線をした場合、モーターが適正な角度にならないためベベルギヤとピニオンギヤが角度的に正しく噛み合いません。
当然ながら正しく噛み合わないということは正常な負荷ではないのでパーツの異音や異常消耗に繋がります。
グリップ内の配線ミス

グリップとモーターに挟まれて潰れたコード

画像のようにモーターの前方からコードを出して接続します。
修理後の画像

分解前にセレクターとトリガーの作動状況を確認しました。
セレクターを操作した感じではSAFEとAUTOしかない印象でした。
セレクターを分解して判明したのですが、セレクターレバーのプランジャー部分が接着されて正常作動していなかったので接着剤を除去してプランジャーが動くようにしました。
セレクターをロアフレームに組み戻してみましたが、セレクターレバーのプランジャーが機能してもプランジャーのスプリングが弱いためクリック感も弱くSEMI位置で軽く触れただけでセレクターが動いてしまう状態でした。
プランジャー部分の接着剤を除去した状態

各セレクター位置でプランジャーがしっかり位置決めするように深く掘りました。
深堀した部分

ロアフレームにセレクターを組んだ状態でかなりガタがあったので矢印部分に隙間があったので円盤がセレクターレバーに若干深く入るよう削りました。
作動箇所にグリスを塗布して組み戻しました。
セレクターレバーの裏に付く円盤

プランジャーのスプリングが弱いのでセレクターの切り替えは全体的に軽い感じですが、確実に切り替わるようになりました。
組み直したR社製(並行輸入品)セレクター

取り出したバッファーですがネジ部に油分がなくアルミダイキャストが削れて周囲にアルミの粉が付着しています。
ネジ部にグリスを少量塗布することでバッファー、ロアフレーム双方を傷めづらくなります。
組み戻す際にグリスを塗布してあります。
削れ始めているバッファ

ロアフレーム側もアルミの粉が付着しているのが確認できます。
削れ始めてアルミの粉が付着しているロアフレーム

セレクタープレートですが矢印部分がカットされています。
この部分はセレクターがSAFE位置でトリガーをロックする重要な部分です。
トリガーロック部分をカットされたセレクタープレート

セレクターセンサーが検知するための反射材がプラペーパーになっています。
陽炎3型D改は説明書にも記載はありますが付属のアルミテープを使用することで正常に検知するように設計されています。
セレクターセンサーの反射材が付属品と違う

旧型、新型で意味もなく付属品が変わることはありません。
説明書を熟読してから正しく施工しましょう。

セレクタープレートの矢印部分が変形していました。
セレクターの円盤が当たる分が変形している

原因はセレクタープレートの円盤の入る部分の幅よりも社外製セレクターの円盤の径が大きいことが原因でした。
無理な力が加わった状態でセレクターを操作したことで変形したと思います。
円盤の直径12.30㎜

0.35㎜も円盤が大きいことがわかります。
東京マルイ製のセレクタープレートの内径11.95㎜

社外製セレクターの円盤の軸径と東京マルイ製のロアレシーバーのセレクター部の内径です。
0.2mmのクリアランスがあります。
これではセレクターを操作した際に正しく切り替わらない可能性があります。
東京マルイ製ロアフレームのセレクター部分の内径

R社製(並行輸入品)の軸径

セレクタープレートの円盤が入る部分の前後と上部分を削って調整しました。
セレクタープレートの反射材をアルミテープを貼りました。
セレクタープレートを加工したのと先ほどの軸のクリアランスがあるのでレシーバーに仮組してセンサーチェックを行い正常に切り替わるように調整しました。
修正後のセレクタープレート

セレクタープレートの前部分にある丸い突起ですが、セレクターの動きが渋くなるのでカットしました。
ノーマルスイッチのセレクター部分を押すための突起をカット

矢印部分は基板を固定するネジを取り付ける部分です。
左矢印の部分は陽炎3型D改の説明書には記載のない金属製ワッシャーを挟んで取り付けられています。
陽炎3型C改ではポリスライダーを使用して基板の浮き上がりを防止していますが、陽炎3型D改は基板の厚みを変更してポリスライダーを使用しないで固定できるようになっています。
右矢印には基板を固定するネジが取り付けられていませんでした。
基板の固定方法が説明書と異なっている

矢印部分ですがボルトストップのスイッチのアームが接着されて適正位置になっていません。
スイッチのアームが接着されている

旧型、新型で基板の固定方法が変更される場合もあります。
説明書を熟読してから正しく施工しましょう。

R社製(並行輸入品)メカボックスのボルトリターンシャフトを止める金具を掛ける部分にクラックが入っていました。
メカボックスにクラック

説明書と異なるコードの取り回し(ピンヘッダーの内側)でトリガーセンサー基板に圧迫された跡があります。
ピンヘッダーの外側を通すのが正しい取り回しです。
間違ったコードの通し方

右画像は基板固定ネジを使用せずに接着で基板が固定されていました。
基板を接着して固定

基板をメカボックスから剥がしたところ、赤〇部分が接着跡です。
基板のパターンに影響のない部分ですがレジストが剥がれました。
使用には問題はありませんので現状のままとします。
基板の接着は破損に繋がります

メカボックス付属のネジが短いからと言って基板を接着していはいけません。
基板のレジストが接着剤と共に付着している

トリガーのストロークを検知するための反射材がプラペーパーになっています。
陽炎3型D改では反射材にアルミテープを使用します。
トリガースプリングが細い針金を曲げたような弱いものが取り付けられていました。

トリガー右側にガタ取りの為か薄いシムが入っていました。

旧型、新型で意味もなく付属品が変わることはありません。
説明書を熟読してから正しく施工しましょう。

左のトリガーが東京マルイ製の次世代M4トリガー、右がアフターパーツメーカーの樹脂トリガーです。
SAFE時のトリガーロックとトリガーの引き過ぎ防止の赤〇部分が折れた状態になっています。
意図的に折ったのか強度不足で折れたのか不明

メカボックスの右側が削られていました。
なぜメカボックスを削るのか?

トリガーがメカボックスに対して右側に寄っていたのでトリガーの位置調整をしました。
軸のスプリングの掛かる部分の幅が広かったので若干削って狭めました。
軸のトリガースプリングが掛かる部分の幅が広い

シムを挟むため軸部分の調整

トリガーのストッパーが折れているので、トリガーを引き切るとトリガーの先端がトリガーセンサー基板に接触する状態でした。
トリガーに基板の端材を接着してロックピンでトリガーが止まるようにしました。
メカボックスが削られているのでトリガーの右側にシムを挟んでクリアランスを調整しました。
シムは外れないように接着しました。
トリガースプリングが弱いのでバンプファイヤ(指の振動によるバンプ)になる可能性があります。
東京マルイ製か強化スプリングに変更すれば収まると思います。
※この修正ではロックピンが無い状態ではトリガーのストッパーは効きません。
修正後のトリガー

仮組みした状態です。
トリガーを調整すればロアフレームを削ることなく取り付けられます。
この部分を削ってしまうと外光が入りやすくなる可能性があります。
削られた部分から外光が入る可能性があります

ロアレシーバー、メカボックスを削らなくても正しく装着できます

修理前はトリガーの先端がトリガーセンサー基板に当たる状態だったので右側へ傾いています。
陽炎シリーズで初の事例です。
修正前(トリガー基板が傾いている)

トリガーセンサー基板を一度取り外し角度を修正して再度ハンダ付けしました。
修正後(制御基板に対して直角)

制御基板の修理が完了したのでメカボックスに取り付けました。
付属品ではありませんがM2トラスネジ(ホームセンターやネット通販で入手可能)で基板を固定しました。

ボルトストップスイッチのアームが接着されて正常に機能しなくなっていました。
ボルトストップスイッチの接着状態

ハンダを吸い取ってから丁寧に剥がしていきましたが接着剤が思いのほか流れていたらしくパターンごと剥がれてしまいました。
接着されていなければ綺麗に取り外すことができます。
ボルトストップスイッチを取り外した状態

取り外し部分をレジスト(基板の絶縁塗料)を塗布して保護しました。
露出した部分の修正

アームを接着固定していたということはボルトストップのリンクパーツを取り外して使用しているのではないかと思います。
本来ならばスイッチのアームを接着し機能を改変しているので不正改造にあたりますが、今回は特別に修理しました。
今後、この基板はボルトストップの機能がなくなります。
ボルトストップ機能をオミット

コードを全て交換してピンヘッダの外側を通します。
修正後の基板取り付け

メカボックス内のコードの取り回しです。
CNC切削のメカボックスはエッジが立っていることが多いので傷がつかないように熱収縮チューブで保護します。
熱収縮チューブでコードを保護

コードをまとめるにも有効です

ファストン端子のカシメ部分は熱収縮チューブを二重にして保護します。
グリップエンドでもショート防止

不思議な減り方をしているセクターギヤです。
DSGセクターギヤ

斜めにすり減っている1枚目の歯

セクター側、ベベル側共に高負荷による歪みが生じています。
負荷に対してギヤの材質が負けて歯が潰れているのがわかると思います。
内側(上側)がセクターギヤに掛かる部分

外側のギヤがベベルに掛かる部分

東京マルイ製のベベルギヤのようですが、セッティングに合っているのでしょうか?
セクターギヤ、スパーギヤ、ピニオンギヤが強化品でベベルギヤだけ東京マルイ純正を使用するということは、ベベルギヤを壊して他のギヤを守るセッティングのように思えます。
極端な角度ですり減っています。
ベベル部分が痛んでいます

欠けている部分もあります

ピニオンギヤですが、画像の赤〇部分にクラックが入っています。
パーツクリーナーで油分を拭き取っても線のように油分が滲んできます。
硬すぎるピニオンはクラックなどが入ることがあります

拡大するとクラックが良くわかります

ピニオンギヤを観察していると歯の谷部分(赤〇部分)にもクラックが入っています。
結構激しくクラックが入ってます

更に観察すると矢印部分にもクラックが薄く入っているようです。
ベベルギヤの大きな衝撃を受けて歯の谷からクラックが入っていったのではないでしょうか?
過去にピスクラやギヤ破損があり回転中にロックしたことのあるのではないでしょうか?
本来なら交換すべきピニオン

ピストンですが、ラックギヤの普通では考えられない部分に傷がついています。
赤線の左側はセクターギヤの歯が掛かる部分です。
赤線の右側の1枚目のギヤ(矢印部分)の前後に傷があるのがわかると思います。

こちらの画像では左側奥の歯になります。
この部分はセクターギヤに掛かる部分ではありません。

このピストンはラック歯2枚目以降にくらべ1枚目が高くなっています。
ピストンが動作するときにピストンがセクターギヤを乗り越えて引かれる状態になります。
リリース時は再び乗り越えることになり、ラックギヤの前後に傷がついたのだと思います。
メカボックスとピストンのレールのクリアランスがタイトでなかったおかげでピストンロックを回避できていますが、レールのクリアランスがタイトな組み合わせだとピストンロックします。
セクターギヤの右側(歯の部分)の方が大きい

ノズル先端に不思議なテーパーっぽい削り跡(赤〇部分)がありました。
ノズル内部の突起は2つの機能がある重要な部分です。
①負圧給弾では重要な部分でBB弾を吸い込みながらピストンをロックしないようにエアが吸気できるようにするための機能
②パッキンのホップ部とBB弾の保持位置(ノズルの中心という意味ではありません)
修理品のノズル

東京マルイ製ノズル(消耗して交換されたもの)

BB弾の保持状態を測ってみました。
0.65mmも差があります。
専門外なのでどのような効果があるのか存じませんが、きっと意味のあるチューナップなのでしょう。
修理品(ホップ部分から0.65㎜も後退する保持位置)

東京マルイ製(新品なら若干前方で保持されます)

 

基板の修理以外のパーツ(シム以外)は交換していません。
分解する前に指でギヤを回した際にかなり渋かったので噂に聞くシムブレーキ的な状態でした。
シム調整をした際に指で軽くギヤが回る状態にしました。
陽炎3型D改の機能に影響する部分の調整(セレクター、トリガー関連の加工を伴う調整、各ギヤのシムによる噛み合い調整)を行いました。