セレクターがセミ位置で単発だったりバーストしたりするとのことで、ロアレシーバーごと動作する最小限の状態で預かって点検(通常は基板単体のみ)を行いました。
不可解な症状なので、全て分解して基板から点検すると根本の原因が特定しづらくなるので、分解しながら点検してきます。
- 症状の確認
作動はするとのことだったので、7.4Vリポバッテリーを接続して動作したところ、初見ですが物凄いギヤノイズが音とグリップに伝わる振動でした。
「K様からの修理依頼」とは別種のノイズでした。
連絡を受けていたいとおりのセミ位置で不安定な動作です。 - センサーテスト
症状から陽炎3型Dのセンサー異常を疑いましたが、各センサーは正常に反応していました。 - 各部点検
セレクタープレートのアルミテープの状況確認を行いました。
アルミテープの表面がデコボコになっているとセンサーからの光が乱反射する可能性があります。

スパーギヤの軸受けとセクターギヤの軸と軸受けがセレクタープレートに当たっています。セレク
タープレートの動きを阻害する以外にセクターギヤに無用なブレーキが掛かってしまいます。
軸受けが 5.9 ㎜から 8 ㎜へ変更となっているのでセレクタープレートの軸受けの当たる部分に逃が
しを作らなくてはなりません。


セレクターの接着剤を剥がしアルミテープを張り直しました。
セレクタープレートを削って軸受けと軸の逃がしを設けました。

セレクタープレートを削って軸受けと軸の逃がしを設けました。

セレクタープレートの矢印部分が捲れていました。
これはセレクターレバーがフル位置へ操作した際、セレクタープレートがメカボックスのストッパーに干渉して移動を阻害されて更にレバーが回された痕跡です。

矢印部分を干渉しない程度に切除しました。
メカボックスを純正以外に変更する場合(東京マルイ完全互換でない場合)は細かい部分の修正が必
要になります。

ピストンのラックギヤとDSGギヤの噛み合いですが、両パーツ共にS社製だと思いますが、パーツの選定が誤っています。
S社製の幅の広い黒色のラックギヤのピストンが組まれていました。
このピストンはラックギヤの一番後ろ歯と二枚目の幅が開き過ぎて(ギヤのピッチが合っていない)セクターギヤの歯がピストン側の二枚目に乗り上げてしまいます。
二枚目以降のギヤのピッチは合っています。

他社製ピストンですが、問題なく噛み合っています。

ラックギヤの修正は二枚目の歯を斜めにすることで滑り込ませながら嚙合わせることができるのですが、二枚目のギヤの高さが低くなっていたので右画像のように乗り上げた状態は改善できませんでした。
この状態では正常動作とは言い難いのでピストンセットを交換しました。


グリップの内側に軸受けの逃がし(画像中央)があります。

純正軸受け5.9㎜から8㎜軸受けに対応するために削って当たらなくします。
トリガーは微妙な左右の遊びがあるのでアルミテープがデコボコだと乱反射してチャタリングやバンプファイアのような動作になることがあります。

トリガーのアルミテープを貼り換えました。

- トラブルの特定(切り分け)
基板を取り出しモーターを接続して陽炎3型Dを単体で動作テストを行ったところ、陽炎3型D単体での問題はありませんでした。
トリガーを詰めるとトリガーのフルストローク付近でONまたはOFFになる場合があり、発砲の振動でトリガーや指がチャタリングを起こすことがあります。
DSG等の強いスプリングでは発砲の衝撃によりメカボックス等が振動しセンサーが検知するという可能性もあります。
検証の為トリガーの詰め物は外させていただきました。
トリガーのストッパー部分が削られていたのでロックピンで止まるようにトリガーの内側にプラ板を貼りました。
通常ストロークでは問題がなかったのでトリガーを詰めたため起こった現象だと考えられます。
トリガーを詰めた場合、トリガースプリングのテンションを強くするとトリガーの振動を抑えられることがあります。 - 組み戻し
- セレクタープレートの作動を阻害する部分の加工とアルミテープを貼り直しました。
- ベアリング軸受け内部(可動部)を洗浄後にグリスを充填しベアリングの回転をスムースにしました。
- セクターギヤ、スパーギヤのシム調整をしました。
(適正位置割り出しの為のシムなので常用使用では変更してください。) - 他社製のピストン、ピストンヘッドに交換しました。
(正常動作の確認用なので常用使用では強化品に変更してください。)
届いた状態でもリポ7.4Vで稼働していましたが、上記の4点の対応で更に作動ノイズの軽減とスムースに動くようになりました。


